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グループ法人税制

2022-01-262022-02-08

一言でいうと?

グループ法人税制(ぐるーぷほうじんぜいせい)とは会社の規模や資本金の大小を問わず、100%支配しているグループ内の場合強制的にすべての法人に対して適用される税制です。

グループ法人税制とは?

グループ法人税制とは、2010年度に税制改正にて創設された税制です。

国内に本店や主たる事務所を有しており、一部例外を除いての直接または間接の株式所有率が100%の完全支配関係となる、親子会社の取引に適用される税制となります。

グループ法人税制が適用される対象

グループ法人税制が適用される対象は、完全支配関係が成立しているグループ内の国内に存在する法人に適用されます。

完全支配関係とは

当事者間の完全支配の関係、当事者間の完全支配の関係がある法人相互の関係がある場合となります。

完全支配とは、直接又は間接にも100パーセントの株式を所有している、ということになりますが、従業員持株会等により保有する株式が、発行済株式(自己株式を除く)の5パーセント未満の場合は、これらの株式を発行済株式から除いて判定されます。

グループ法人税制の適応内容

条件を満たした法人グループに対しては、以下の取り扱いが強制的に適用されることになります。

1 グループ内で一定の資産の譲り渡しに伴う譲渡損益を繰り延べる。

2 グループ内で配当の受取が行われた場合、全額を益金不算入として処理する。

3 法人頂点とする100パーセント支配グループの法人内において寄付を行う場合、寄付金を支出する法人は全額を損金不算入として処理し、寄付金を取る側の法人は全額を益金不算入として処理する。

グループ法人税制の構成内容

ここでは各制度について大まかに解説していきます

グループ間の資産譲渡

国内法人が譲渡損益調整資産を完全支配関係がある他の内国法人に譲渡した場合に、その譲渡にかかる譲渡損益の計上を繰り延べる必要があります。

譲渡損益調整資産とは、完全支配関係にある法人グループ内で取引された資産のうち、固定資産、棚卸資産である土地等、売買目的有価証券以外の有価証券、金銭債権及び繰延資産で、少額なものは対象となりませんが、1000万円以上の資産を譲渡した際は注意が必要です。

寄附金の損金及び益金不算入

国内法人が法人が頂点である完全支配関係のある他の国内法人に対して寄附金を支出した場合、支出した法人では寄附金の全額が損金不算入となり、受領した法人では受取寄附金の全額が益金不算入となります。

寄附金は単純に金銭のやり取り以外でも、相手の経費を肩代わりすることや無償の供与についても含まれます。

現物配当の譲渡価格の修正

適格現物分配により親子間で資産が移転した場合、譲渡損益の計上を繰り延べます。

株式所有率が100パーセントの子会社から親会社に現物配当を行った場合、通常はその資産の時価で配当が行われたと仮定するものですが、取得原価のまま親会社に移転させることができる制度で、親会社側でも帳簿価額のまま受け入れるものです。

グループ間配当の負債利子非控除

通常は、対応した借入等に対する利子を控除して配当金の益金不算入金額を決定することとなります。

しかし、配当の計算期間全てにおいて100パーセント子会社である必要があります。

グループ間株式の譲渡損益の繰延

100パーセントグループ内の国内法人の株式を、発行法人に対して譲渡する場合、その株式の譲渡損益を計上しません。

つまり自己株式をグループ間で譲渡した場合には譲渡損益が発生しないということとなります。

100%支配下の子法人の中小企業特例の不適用

100パーセントグループ法人では親会社の資本金が5億円以上の場合、例えその会社の資本金が1億円以下でも小企業の特例が適用できなくなります。

具体的には、次のものが適用できなくなります。

法人税の軽減税率、特定同族会社の特別税率の不適用、貸倒引当金の法定繰入率の利用

交際費等の損金不算入制度における定額控除制度(飲食費の2分の1等は使えます)

欠損金の繰戻しによる還付制度などが該当します。

グループ法人税制のよもやま話・豆知識

グループ法人税制での注意点

グループ法人税制とは法人税制上の取り決めの為、実際の会計処理とは切り離して考え調整を行わなければなりません。

特に法人税の申告時に調整が必要となります。

資産の譲渡等、譲渡損益の計上する場合、調整金額が大きくなる場合、会計上の当期利益額と法人税の申告書における課税所得の金額との間に差が生じてしまう可能性も十分にありますので注意が必要となります。

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