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押さえておきたい細かな社宅の取扱い

2022-01-252022-01-27

社宅の取扱い

法人税の節税としてよく言われる社宅については、所定の賃料を社宅に入居する役員や従業員から徴収していれば問題ないと言われます。

この所定の賃料が非常に安いため、実際に家主等に支払う賃料との差額が経費になるため節税と言われる訳ですが、反面非常に有利な取扱いなのでどこまで認められるのか、多くの質問が寄せられています。

水道光熱費の負担

生活する以上、当然に水道光熱費は発生しますが、社宅についての水道光熱費について、入居者たる従業員などから徴収する必要があるのか問題になります。この点、国税の通達をみると、以下の要件を満たす場合に限り、課税されないと解説されています。

1 水道光熱費の料金が社宅に居住するために通常必要と認められる程度の料金であること

2 各人ごとの使用部分に相当する部分が明らかでないこと

簡単に言えば、低額で計算できない場合には課税されず、社宅に係る水道光熱費部分の全額が経費になる、ということになります。この取扱いをよく使っていたのが私も入居していた税務署の寮で、税務署は敢えて各部屋に水道光熱費のメーターを設置していませんでした。結果として、真夏においては、クーラー付けっぱなしという職員が多数存在していました。流石に職員を優遇しすぎ、と思ったのか退職する前にはメーターをつけて管理するようになっていましたが。

特殊な業務に従事する場合の社宅費用

その他、社宅であっても使用料を全く徴収する必要がないケースもあります。具体的には、早朝又は深夜に勤務することを常例とするホテル、旅館などの住み込みの使用人に対し提供した部屋です。

所得税の非課税として、「職務の遂行上やむを得ない必要に基づき使用者から指定された場所に居住すべきものがその指定する場所に居住するために家屋の貸与を受けることによる利益」については、非課税とされています。上記の旅館などに住み込みの方は、職務の都合上そこに住まざるを得ないため、部屋を借りるという利益があるにしても、業務の都合上という理由がありますので、敢えて課税しないとされているのです。

節税によく使われる社宅ですが、このように社宅と言っても細かい取扱いもありますので、ミスをしないように慎重に対応する必要があります。

この記事を書いた人

松嶋 洋(元国税調査官・税理士)

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東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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