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非課税財産

2023-05-162023-05-16

一言でいうと?

非課税財産(ひかぜいざいさん)とは、税金の対象外とされる財産のことを指し、非課税財産には、相続税などの計算上で非課税となるもの(特例や控除、非課税枠など)と、財産そのものが非課税となるもの(非課税財産)の2つのパターンがあります。

非課税財産とは

非課税財産とは、一般的には、特定の法律や税法によって課税対象から除外される財産のことを指し、(1)控除および非課税枠や特例などにより計算上非課税となる財産(2)相続税などの税が課税されないと規定されている財産(非課税財産)との2つのケースに分けられます。

つまり、相続財産における非課税財産は、上記(1)と(2)の合計額と言い換えることもできます。

相続税の非課税財産となる相続税の基礎控除

財産相続の課税遺産総額の算出は、遺産の課税合計額から相続税の基礎控除額を差し引いて計算します。

課税遺産総額=課税合計額-基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)となり、相続人が1人の場合の3,600万円が最少の基礎控除額です。

上記式中の課税合計額は、相続財産の中から非課税財産と規定される財産を引いた額となります。

相続税がかからず全財産が非課税財産になるのは、正味の遺産総額が基礎控除額以下となったとき(課税合計額≦基礎控除額)で、その場合は申告自体が不要になります。

相続税の非課税財産となる基礎控除の「法定相続人」とは

相続税の非課税財産となる相続税の基礎控除に係る法定相続人は、次の順序で常に相続人となる配偶者と一緒に相続人になります。

第1順位は故人の子供で、子がいない場合は孫、第2順位は、故人の父母や祖父母などの直系尊属、第3順位は故人の兄弟姉妹です。

相続放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした相続人の数となります。

また法定相続人の中に養子がいる場合は、被相続人に実子がいる場合は、養子のうち1人までを、被相続人に実子がいない場合は、養子のうち2人までを法定相続人に含めることができます。

相続税における非課税財産となるもの

相続税がかからない主な非課税財産は次の通りです。

1 墓地・墓石・仏壇・仏具など神を祭る道具

2 宗教・慈善・学術・その他公益目的の事業を行う個人などが相続した財産

3 心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金

4 相続による生命保険金の取得のうち一定条件の部分

5 相続による退職手当金等の取得のうち一定条件の部分

6 個人経営の幼稚園の事業での一定要件を満たす財産

7 国・地方公共団体や公益目的の事業を行う法人に寄附したもの、あるいは、特定の公益信託の信託財産とするために支出したもの

相続税の非課税財産となる「神を祭る道具」

墓地・仏壇・仏具・祭具など、礼拝の対象とされている財産は相続税の非課税財産となりますが、ただし、純金製で高価なものは課税対象となる場合があります。

また骨とう的価値があるなど投資の対象となるものや商品として所有しているものは非課税財産とはならず相続税の対象となります。

相続税の非課税財産となる「公益事業のために使う相続財産」

宗教・慈善・学術・その他公益を目的とする事業を行う個人などが相続した財産については非課税財産となり相続税が課税されません。

相続人がお寺の土地を相続し、維持・管理したり、児童養護施設を相続し経営した場合、非課税財産となり、相続税が課税されないこととなります。

ただし、公益を目的とする事業に使われることが確実であることが条件となりますので、財産を取得してから2年が経過しても公益事業に使っていない場合は、遡って相続税が課税されます。

相続税の非課税財産となる「心身障害者共済制度の給付金」

地方公共団体の条例によって、精神や身体に障害のある人またはその人を扶養する人が取得する心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利については、非課税財産となり相続税が課税されません。

相続税の非課税財産となる「相続による生命保険金の取得」

被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金で、その保険料の全部または一部を被相続人が負担していたものは、相続税の課税対象となりますが、相続によって取得したとみなされる生命保険金のうち、500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分は、非課税財産となり相続税が課税されません。

500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額

また、契約者と受取人が同じ場合は、相続税ではなく所得税が課せられ、契約者と被保険者、受取人がそれぞれ異なる場合には贈与税が課せられます。

相続税の非課税財産となる「相続による退職手当金等の取得」

被相続人の死亡により、被相続人に支給されるべきであった退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与を受け取る場合で、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものは、相続財産とみなされて相続税の課税対象となりますが、そのうち、500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分は、非課税財産となり相続税が課税されません。

500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額

死亡後3年以内に支給が確定は、死亡退職で支給される金額の他、生前に退職していた場合の退職金も含まれます。

相続税の非課税財産となる「個人経営の幼稚園の事業」

個人経営の幼稚園、盲学校、ろう学校、養護学校の財産で一定の要件を満たすものは、非課税財産となり相続税が課税されません。

ただし、相続人のいずれかが引き続きその幼稚園を経営することが条件となります。

相続税の非課税財産となる「公益目的の事業を行う法人に寄附」

相続や遺贈によって取得した財産で、相続税の申告期限までに国または地方公共団体や公益を目的とする事業を行う特定の法人に寄附したもの、あるいは、相続や遺贈によって取得した金銭で、相続税の申告期限までに特定の公益信託の信託財産とするために支出したものは、非課税財産となり相続税が課税されません。

その他一定条件下での非課税財産となるもの

贈与税の納税においても非課税財産となるものがあります。

「暦年贈与(暦年課税)」では、年末から年始までの1年間に受けた贈与額が110万円以下ならば贈与税が非課税になりますので、財産の非課税の分与策として利用されます。

また「相続時精算課税制度」は、60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子・孫への生前に2500万円まで非課税で贈与できる制度で、相続時には相続財産として加算されますが、贈与時の時価で加算されるため、その時の時価が低ければ控除内の非課税財産にできる可能性があります。

非課税財産とならない暦年贈与の例

暦年贈与の「生前贈与加算」の制度が改定され、2024年より前は、贈与が相続時より遡って課税対象に加算され非課税財産とはならなくなる年数は3年でしたが、2024年1月1日以降の贈与から、遡り加算年数が7年となります。

ただし2024年1月1日より前の贈与の加算年数は3年なので、実際には2027年以降の相続から加算年数が3年より長くなり、2031年1月以降、丸々7年加算されますが、延長された4年の間の贈与については、総額100万円までは非課税財産として相続財産に加算しなくてもよいとされました。

非課税財産のよもやま話・豆知識

非課税財産を利用した節税対策

例えば、生前に掛け捨てでない貯蓄型の生命保険(死亡保険)に入っていれば、死亡後に下りる保険金には法定相続人1人に対して500万円の控除が適応されますので、現金として貯金しているより、相続税の節税になる可能性があります。

また仮に生前に自分のお墓を購入したとすると、お墓は非課税財産で相続しても相続税が課税されないので、現金の相続より節税できる可能性があります。

相続税の非課税財産を、生前に買うことにより節税できる可能性が広がります。

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